« 作業所のお仕事 | トップページ | 野球ひとすじでは、まずいのでは? »

2005/02/19

『テレビの嘘を見破る』

テレビの嘘を見破る 新潮新書
今野勉著

総合評価★★★★

長年テレビドキュメンタリーを手がけてきた著者が、これまでのドキュメンタリーではどんな手法が使われてきたがを実例をあげて紹介し、その問題点やあるべき姿を考えていく。

やらせ事件とされたものについて、かなりの部分は業界では常識的に行われているものだという。最初は「えっ!」と驚くものの、実際の制作事情がわかれば、うなずかざるを得ない。問題は、業界外の人が、そういう制作事情をほとんど知らない点にあるという意見には、そのとおりだと思う。

著者は映像メディアと活字メディアは大きく異なるとしている。それはそのとおりだけれど、雑誌や書籍の作り手の立場として、私も同じようなことを感じるときはある。例えば、インタビューや座談会は、ナマの言葉を並べただけでは、読みやすく面白い記事には絶対にならない。それぞれの主張や言い回しを尊重しつつ、読みやすい形に再構成するのは、当然のことだ。

どこまでがいいのか明確な基準が作れるはずはないし、「常識」は時代と共に変わっていく。制作者として「いかに伝えるか」を尊重しようという著者の考えには、好感を持った。

また、欧米と日本の制作者の感覚の違いは、面白かった。自分の主張を打ち出すことを最優先する欧米に対して、できるだけ自然な記録の中なら何かを読み取ろうとするのは、いかにも日本的な感覚だ。その感覚が、日本で「やらせ」が度々大問題になる原因なのだろう。

何でもかんでも「やらせ」と犯罪にしてしまうことには違和感がある。しかし、新聞などで大きく取り上げられることで、視聴者に制作手法が知られるきっかけになったのは、よかったのではないだろうか。

テレビの嘘を見破る(新潮新書 088)
今野勉著

|

« 作業所のお仕事 | トップページ | 野球ひとすじでは、まずいのでは? »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26667/16248826

この記事へのトラックバック一覧です: 『テレビの嘘を見破る』:

« 作業所のお仕事 | トップページ | 野球ひとすじでは、まずいのでは? »