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2011/05/16

『原発と日本の未来 原子力は温暖化対策の切り札か』

今年2月の発行。原発について、経済面から考察した本。いかにも研究者が書きましたという文体は読みやすいとは言わないが、60ページ程度の薄い本なので、すぐに読める。

原発は火力発電よりもコストが安いと言われるが、安全面の管理、使用済み核燃料の処理、廃炉になったときの後処理、いざというときの補償などを考えれば、莫大なコストがかかる。しかも、日本ではさまざまな問題で稼働率が低い。核廃棄物再処理事業はまったく成功していない。

事業としてはリスクがありすぎるので、市場競争原理にさらせば、勝てない。電力が完全に自由化されれば、電力会社は原発を選ばないだろうという話。

では、なぜそんな原発が増えてきたかというと、1950年代から国策として政府が推し進めてきたからだ。その理由は安全保障問題なのだという。つまり、「日本は核武装を差し控えるが、核武装のための技術的・産業的な潜在力を保持する方針」というわけだ。また、エネルギー問題で太平洋戦争が始まったことを考えると、石油由来ではないエネルギー源を確保する意味があったのだろう。それに賛成か反対かはおいておき、冷戦構造の当時の事情からすれば、そういう選択もあったのだろうと腑に落ちる。

それが時代の変化に関係なく続いてきたわけは、御用産業として既得権がからんでしまって、身動きできなくなったということだろう。競争原理が働かず、規制もなれ合いになって、安全対策もおろそかになったのか。それを方針転換をするためには、いまは大きなチャンスといえるだろう。

ところで面白かったのは、原発推進国が二酸化炭素放出削減には成功していない傾向があるという考察だ。環境問題に真剣に取り組む国は原発を廃止・縮小しようとしているとのこと。それは、そうだろう。何千年も危険な放射能を出し続ける核廃棄物質を残したり、いったん事故が起これば取り返しが付かない汚染をまき散らす可能性がある原発を環境にいいと主張するのは、どう考えてもおかしい。

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コメント

先日の報道で初めて知ったのが「ニュージーランド」、原発は一機も無いのですね〜、
水力、火力、風力、地熱で電力を賄っているのだそうです、ニュージーランドは以前に
行った事がありますが街が暗かったのは記憶にあります、緯度的にも地理的にも似た様な
環境(地震も含めて、南北の差はあるけど)、日本の政府も見習って欲しいと思いました。

投稿: TIKA | 2011/05/16 21:23

>TIKAさん

大規模な製造業をやると電力を大量に使うのかなあと思います。最小限のモノ作りで自然とともに生きるか、アメリカ風のジャカジャカ使って使い捨てる文化に染まるのか、選択するのは国民だってことかな。私は、大きなモノを作るのはそろそろやめてもいいかなと思いますが…。

投稿: umekata | 2011/05/16 23:29

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