2015/01/29

『英会話不要論』

英会話不要論 (文春新書)

基礎がないまま会話練習をしても、ぺらぺら話せるようにはならない。本格的に外国語を身につけるのは並大抵のことではなく、学校の教え方さえ変えれば使える英語が身につくというのは幻想。帰国子女は友達との会話がスムーズにできるようになっても、数学などを理解するような第二段階の英語力は別の話。むしろ母語で第二段階の力が身につかないと大変。だから、早い内から英語をやれば英語力が身につくということはなく、小学校の英語教科化に益はなく、むしろ害がある。日本人は英語の読み書きはできるが話せないというのは勘違いで、時間をかけてもまともに意味を取れない人は多い。時間をかければ訳読できる人は、練習すれば会話上達も速い。

ざっとこのような内容で、このあたりは英語学習についていろいろ学んできた人には特に目新しくはないだろう。ただ、実際に大学の教師や翻訳者として経験を積んできた立場で、いくつかの情報はとても面白かった。

まず、中学高校の英語授業は、20年くらい前からすでに会話重視に変わっていて、センター試験にもリスニングが取り入れられているそうだ。そして、その結果か、大学生が英語論文を読めなくなっているとのこと。これは、大変な問題だ。まあ、私の考えでは、大学生が英語を読めないのには、AOや推薦入試の影響もあるのじゃないかとも思うけど。

それから、本論からずれるけど、ドナルド・キーン氏のような日本語の達人にも誤訳があって、それが主に主語の読み違いだということ。移り変わる主語は日本語の特徴なんだなと、思う。

著者もけっこう恥ずかしい誤訳をしたことがあるそうで、翻訳は非常に難しいということ。もちろん、ミスはないようにするべきだが、ひとつふたつミスがあったからといって全然ダメというわけではないのだなと思った。

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2012/01/10

Weblioに登録した単語を簡単にiPhoneで

英語学習には、まず音読や多読だと思うが、語彙力の増強も積極的にしていかないとやはり限界がある。

単語帳やアプリをいろいろ使っては続かないことが多かったが、Weblio単語帳はいまのところけっこう使い続けている。Weblioがいいのは、語彙力診断でわからなかった単語を、マイ単語帳に登録して復習していけるところだ。語彙力診断は、解答内容にあわせて変わっていくので、ちょうど自分のレベルにあった単語が表示される。1回覚えた単語を忘れてしまっても語彙力診断を繰り返していれば、また出てきて再度覚え直せるのもいい。

ただ、PCの前に座っていないとマイ単語帳の単語を復習しにくいのがどうにかならないかと思っていた。iPhone対応アプリがまだ出ていないようなのだ。

そこに思い出したのが、拙著『毎日30秒 iPhoneで英語を学ぶ』でも紹介したiPhoneアプリのFlashcards Deluxeだ。

すぐれたアプリだが、まだまだ完全には使いこなしていなかった。Flashcards DeluxeのすぐれたところはExcelやCSVファイルを読み込めるところ。本ではGoogleドキュメントの方法を紹介したが、その後Dropboxにも対応したので、より簡単に自前のデッキを作れるようになった。

Weblioでマイ単語帳を表示して、単語一覧部分をドラッグして選択しExcelにコピー&ペーストすれば、あとは不要な部分を削除するだけ。文字コードをUTF-8で保存しさえすればいい。発音記号や例文は入れられないが、ときどきWeblioで確認すればいいだろう。

1ページ目を英単語、2ページ目を日本語訳にしておけば、英単語を見て瞬間的に意味を思い浮かべる訓練ができる。設定でCard OrderはRandomにしておくといい。Flashcards Deluxeのすぐれたところだが、Repeat MissedをYesにしておけば、フリックの仕方で間違ったカードだけをくり返し復習することができる。あいた時間にiPhoneでどんどん繰り返していれば、40くらい登録しても、2、3日で覚えられる。覚えたら語彙力診断を何度かやって、新たな単語を登録して、という繰り返しだ。

どうしても覚えられない単語は残しておけば、そのうちに覚えられるし、忘れたものはまた語彙力診断でひっかかってくる。

もちろん単語カードで覚えてもそのまま使えるようにはならないが、これで意味を頭の片隅にひっかけておけば、他で出会ったときにはっと気がついて意味が定着していく。当分、これで語彙力増強していくつもりだ。

なお詳しい使い方は、Flashcards Deluxeをダウンロードすればわかる。英文の説明ではわからないという人は、『毎日30秒 iPhoneで英語を学ぶ』を参考にしてほしい。

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2011/07/01

『毎日30秒 iPhoneで英語を学ぶ』

新刊がでます。今回は、iPhoneを使った英語学習法の本です。

『毎日30秒 iPhoneで英語を学ぶ

英語学習をするにあたって、iPhoneはものすごく役立つツールです。いま、携帯プレーヤーやCDプレーヤーなしで英語学習をすることが考えられないように、これからはiPhoneなしで英語学習をすることなど考えられなくなるでしょう。もちろんスマートフォンならAndroidでもいいのですが、現時点では英語学習に使えるAndroidアプリは、iPhoneに比べるとまだまだわずかです。

この本では、英語学習に使えるiPhoneアプリを厳選し、具体的な使用例とともに紹介しました。いわゆる英語学習アプリや電子書籍の紹介にとどまらず、再生速度調整、再生区切り調整、カード集作成、写真編集、カウンター、時間管理など、英語学習にこれは使える!と思うものを集めてあります。

例えば、写真編集アプリは、なぜ必要なのでしょう。テキストを写真に取り込むのでも、トリミングやコントラスト調整をちょっとするだけで、ものすごく文字が読みやすくなります。

再生速度の調整は、いわずもがな。苦手なところをゆっくり再生したり、慣れてきたら速く再生して耳を鍛えられます。再生区切りの調整は? CDのトラックに関係なく、聞きたい英文だけをくり返し聴けます。

カード集作成のFlashcards Deluxeは、中でも紹介したかったアプリです。その高機能ぶりには、誰もが驚くはず。単なる単語カードではなく、音読や英文暗誦に、ぜひ活用しましょう。

時間管理も重要です。せっかくiPhoneを使うのに、時間管理アプリなしでスキマ時間を活用しようなど、私には考えられません。

さて、この本では、音読、シャドーイング、リピーティング、暗誦、多読、多聴、文法、ボキャビルなど、英語学習の王道とも言える学習法を紹介しました。それぞれの学習法を実施するのに、どんなアプリでどんなことをすればいいかを説明しています。

そこでは、1人の学習者として自分の体験をふまえながら、実際に学習する上でのノウハウを紹介しています。例えば、「たくさん聴くといいよ」といわれて海外ニュースを聴いていたものの、さっぱりわからずに挫折したことはありませんか。また、単語を覚えようと単語帳に取り組んだけれど、まったく覚えられなかったということはないでしょうか。

英語の達人が教える学習法は、大筋では正しいものなのですが、他の学習者のレベルや状況をよくわかっていないことがあると思います。達人が「がんばったらできた」ものでも、ある人にはむずかしすぎて、「がんばっても効果なし」のことだってあるんです。また、超人的な努力で達人は達人になったのかもしれないけれど、そんなとてつもない努力ではなく、ちょっとした努力を続ければ、もっと楽にそれなりの効果をあげられることもあるんです。

そういうところを、挫折を繰り返してきた者の1人として、初~中級者ができるだけつまずかないようにアドバイスを加えたつもりです。

この本では、あえて「これだけやれば英語ができるようになる」といった説明は避けました。私がまだそれほどの英語力ではないというのもありますが、英語学習にはいくつものルートがあって、行き方は自分で考えなくてはならないからです。ただ、「こういうときには、こうしてみたら?」という旅のアドバイスは、少し先を歩く先輩として、できるだけたくさん詰め込みました。また、ルートづくりに参考になる本も、かなり紹介しています。ガイドブックの1つとして、手元に置いていただければ幸いです。

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2010/11/30

『語学はやり直せる!』

ロシア語講師で世界中の言語を愛するという著者が、外国語学習について書いた本。ノウハウ本というよりも、エッセイと思ったほうがいいかもしれない。口語調のわかりやすい文体で、ときどき入る冗談も気が利いている。しかも話の本筋がぶれないので、読んでいて小気味いい。

系統立てた学習法がわかるわけではないが、肩の力を抜いた考え方で、外国語学習を楽しいものにしてくれそうだ。理想の語学教師像については、ユーモアあふれるエピソードを読んでいるうちに、見方がちょっと変わったと思う。

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2010/10/13

『英語多読法 やさしい本で始めれば使える英語は必ず身につく』

英語多読学習を広めたSSSの古川昭夫さんが、多読について紹介する本。

私は多読について情報はかなり集めてきたので、新鮮味はないかなと思っていたのだが、予想に反して得るものが多かった。

古川さんはもともと数学教師で、SEGという学習塾を主催している人。数学屋さんらしく、論理的な説明はとてもわかりやすい。多読の効果について数式が出てきたのには驚いたが、なるほど、理解度と多読量の関係を数式で考えると非常に明快だ。

しかし、その論理を支えているのは、多数の生徒や社会人に多読指導をして、成果を上げてきた実績があってこそだろう。豊富な経験から出てきた結論には、説得力がある。

多読に対する否定的な意見についても、単純に批判するのではなく、状況や方法の違いで見方が変わることを説明しているのは、多読学習についてより深く研究してきた人の余裕を感じさせる。

古川説によれば、理解度7割を切ると英語学習効果が低くなるので、理解度7割以上で読むのがお勧めだということ。私は、理解度が低くてもけっこう読んでしまうことが多い。ストレスを感じないためにはやさしいものに戻るのがいいかなと思って繰り返してきたが、それでよかったようだ。

当分の間、英語多読について知りたい人には、この本を第一に勧めることになるだろう。

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2009/08/17

TOEICが受験料値下げ

TOEICが受験料を値下げするらしい。

TOEIC公開テスト受験料の改定について

これも、漢検が問題になったおかげだろう。

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2009/07/31

英語多読の記事

日経BPnetで、英語多読に関するインタビュー記事を書かせてもらった。

楽しく読めば英語力が上がる ~「多読」の秘訣

SSSの古川昭夫さんは、以前から気になっていた人だった。論理的な考え方をする人で、参考になる話が聞けたと思う。

 

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2008/08/18

7月TOEICの結果

TOEICを3ヶ月に1度の割合で受験したいのだが、試験が実施されない月があったり、マラソン大会にぶつかったりするので、いまのところ1月、5月、7月、11月という変則的な受験になっている。適当に受けられるときに受けてもいいのだが、前年と同じ月に受けるとリピート割引というのがあって、受験料が安くなるのだ。

今日、ネットで7月の試験結果がわかったが、825(L:420 R:405)だった。5月は815 (L:440 R:375)で、これまでのベストより35アップしたのが、さらに10ほどアップしていた。

トータルでは微増で誤差の範囲内だが、リーディングスコアがはじめて400を越えたのが正直うれしい。リスニングは上がりやすいが、リーディングは総合的な英語力がものをいうようで、なかなか上がらないのだ。TOEICでは、860以上が一応Aクラスということになっているが、リーディングが400を越えなければトータルで860以上は無理だと思っていた。

しかし、英語トレーニングは、最近、ややさぼり気味。せっかく上がってきているので、さらに伸ばしたいものだが、やっぱり仕事をまじめにしないとね。ここのところ、取材が多い。約束した取材はなんとかこなしても、原稿のまとめが追いつかない。しばらく、英語は、無理しないようにしよう。

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2008/06/16

TOEICスコアがアップ

5月に受けたTOEICの結果が815(L:440 R:375)で、やっと800台に入った。もう少しかかるかと思っていたから、ちょっとうれしい。

生のラジオ放送やペーパーバックが、以前に比べれば、かなりわかるようになってはいるが、苦労せずにスラスラわかるかというと、まだ全然。20年くらい前に製薬会社にいた頃は、TOEICで730を超えれば、英語で困ることはないんだろうと思っていたけど、そう甘くはなかった。どうやら達人の感覚では、TOEICで満点をとっても、まだまだ入り口らしいのだ。奥が深いということだろう。

それでも、できるようになるにつれ、面白くなってきた。言葉がわかる範囲が広がるというのは、楽しい。

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2008/04/13

Harry Potterを全巻読了

昨年11月頃からHarry Potterを原書で読んでいたが、第1作から第7作まで、無事に読了。最終作は、日本語版出版までに間に合い、一足先に物語の終結を知ることができた。

正直言うと、Harry Potterは、それほど入れ込んでいる本ではなかった。面白いことは面白いんだけど、いじめやひいきが頻発するし、かなりのご都合主義も目立つ。ただ、いじめやひいきは最後まで読まなければわからないと判断を保留していたのが、最終的にはなるほどと思えるところに落ち着いた。それまでのシビアな展開に比べると、ちょっとうまく行き過ぎという感じもするが。ご都合主義については、最後までご都合主義が多かったが、感動を呼ぶような場面もたくさんあるので、まあ、いいか(^^;)。

私がHarry Potterにちょっと厳しくなるのは、完全に大人になって読んだからかもしれない。子どものときに読んだら、もっと熱中したかもしれない。

さて、第5作あたりからどんどん暗くなっていった話は第7作でも非常に暗く、最初から大きな犠牲があったり、活躍というよりも逃避行が続いたり、状況はどんどん暗くなっていく。でも、暗くて停滞していた第5作と第6作に比べて、第7作は起伏や動きが大きく、悲惨な中にもユーモアがあり、かなり楽しく読めた。

いろいろな展開や理由付けがあり、話をいろどってはいるが、結末は、だいたい予想していた近辺で落ち着いた(人によっては、驚きのどんでん返しと思う可能性もある)。それでも前はよくわからなかった人の気持ちを説明してくれたので、まあ満足。

正直言うと、日本語訳は第5作でうんざりして第6作は読んでいなかったのだけど、英語学習のために第1作から改めて読んでみて、最後まで読むことができ、評価が変わった。かなり読み応えがある面白い話だと思うので、機会があればまた読んでもいいと思う。第5作の半ばでは、やはり投げ出しそうなったけど(^^;)。

第7作では、それまでのいろいろな話がそれぞれ意味を持ってくるので、日本語訳で読む人も、第7作を楽しむためには、第5作以降くらいは、改めて読み直しておいたほうがいいのではと思う。

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