呉服屋さんで、着物のお手入れフェアをやっているというので、母がむかし買った紬を持っていってみた。私のものではなく、30年くらい前に姉のために仕立てたらしいのだが、姉は全然着物を着ない。数年前に私が「何かあったら欲しい」と頼んだら、送ってくれた中の1枚だ。白っぽい地に、ピンク、グレー、ベージュ系の模様が入っている。似たような柄はほかに持っていないし、やわらかい感じが気に入っている。
表の生地はほとんど傷んでいないが、30年ほどタンスの肥やしになっていたので、裏地がしみだらけで、着物全体がかびくさい。また、八掛が明るいピンクで、最近の傾向から言えばちょっと派手すぎる。それに、姉にあわせて仕立てたものなので、私には少し裄が短い。このままで着られないこともないのだが、多少の出費できれいになるのなら、なんとかしておきたいもの。
しかし、胴裏や八掛を取り替えて仕立て直すとなると、やはりお金がかかる。6万円弱はするようだ。母は「それほどたいした着物じゃない」と言っていたような気がする。5万や10万くらいの着物の手入れに6万円はなあ…。
呉服屋さんに、「これ、どのくらいの着物でしょう」と聞いてみた。
「そうですねえ。最低でも20万か30万くらいですかね」
「えっ」
「いえ、それはあくまで最低でもということですから」
安くて驚いたと思われたらしい。実は高くて驚いたのだ(^^;)。もっとも、「最低でも30万」の着物が、バーゲンで15万円になったりする世界だから、何とも言えないが…。母はけっこう財布のひもが堅くてしっかりものだと思っていたけれど、どうやら着物だけにはかなりお金を使っていたようだ。それも自分の着物よりも娘の着物を作ってくれたのはよいが、その娘がほとんど着ずに、タンスの肥やしになっている。正直言うと、当時はそういう着物を買ってくれるよりも、大学進学などにもっとお金をかけてほしかったのだけど…。
十日町紬だそうだ。そういういい着物であれば、もったいないよね。ということで、お直しを頼んでしまった。防水加工などをつけて、けっきょく約8万円…。着物には、しばらくお金をかけないつもりだったのに(^^;)。
それほど着物が大好きだという気はしないのだけど、なぜか足を踏み込んだら、ずぶずぶとはまっているような気がする。洋服や化粧には、ほとんどお金をかけない人間なのに。これだけのお金を使うのなら、海外マラソンに軽く行けそうなのになあ。けっきょく、蛙の子は蛙ということか。
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